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![]() 皆さんは、大学の授業とはどのようなものだと思いますか?白衣を着た先生が専門的な話をしているイメージでしょうか? 高校との違いって何でしょうか? そこで、大学での勉強や先生について、仙台育英学園高等学校特別進学コースの2年生6名が、東北大学経済学部の大滝精一教授にインタビューしてきました。 大学ではどのような勉強をするのですか?![]() 私は経済学部の教授ですが、高校生のみなさんにとって経済学や経営学という分野は、ほとんど勉強したことがない分野だと思います。そのため最初の1・2年生で入門的な内容を学習してから、より専門的な深い内容を3・4年生で学んでいきます。 例えば、経済や経営を専門で学ぶといっても、「どうして景気がいい時期と悪い時期があるのだろう」とか、「『株で儲ける』というけど、株って何?」というように、興味や関心を持ったことを自分自身で調べて知っていかないと、授業でその入口は勉強できても、奥深い部分まではなかなかわからないのです。始めは、興味のあることを自分のできる範囲で調べるだけでもいいんですよ。その積み重ねや、ゼミと呼ばれる少人数での演習や実践、レポートなどを通じて、徐々に専門知識が本当の意味で身に付いていきますから。自分で疑問を解決したり、こうじゃないかという提案を行うという主体性が大学では必要なのです。理工系ですと実験器具や研究施設が必要な場合が多いのですが、会社で働くこととか物の値段とか、モデルとなる対象や情報が身近にたくさんあるということは、総合大学である本学経済学部の利点でしょうね。 大学での勉強を通じて、どのような人間になればいいのですか? 大学で得たものを自分自身のためにだけではなく、他の人にも喜ばれるように役立てていくことができる人になって欲しいと考えています。 高校生のうちにした方が良いことはありますか?![]() 読書をして欲しいですね。学生と接していて一番思うことは、読んでいる本の幅が狭いということです。受験勉強も大変だと思いますが、小説や自然科学の本、新書などもすごくためになりますよ。 学生とは授業以外でも話をすることはあるのですか? とても多いですよ。例えば、「ゼミ」と呼ばれる少人数での演習が大学にはあるのですが、終わってから一緒にお酒を飲みに行ったり、たまには旅行に出かけたりしますよ。今度、宮城県の大崎市にある有名な「あ・ら・伊達な道の駅」に行ってきます。これは半分は小旅行ですが、半分は職員の人から話を聞くなど、まじめな勉強の一環です。 学生と接することで、先生はどのような発見がありますか?![]() 一つは若い人の生活や感覚などですね。携帯電話の使い方などは学生から教わることもあります。私が大学で教えるようになったのは27歳の時で、その時は24歳の学生がいました。3つしか違わないので、学生というよりも、もうほとんど友達ですよ。よく家に呼んでお酒を飲んでいました。ところが30年近く働いていると、自分では若いつもりでも、どんどん歳をとっているのですね。今55歳なので、新入生として入ってくる18歳や20歳の学生たちは自分の子どものような年代なのです。自分たちの年代だけでは知りえないことやセンスなどを教えてもらっています。ですが、取り巻く周囲の環境は変わっても、大学に入ってきて真剣に学問に取り組む時の目の輝きとか、研究の打ち上げで遊んだりしている姿などは、30年前の学生も今の学生も変わらないですよ。 もう一つは、同じ経験をしても、私たち教員とは違う感じ方をするのだということです。教員も毎年授業を繰り返していると、だんだん新鮮さがなくなってきてしまうことがあるのです。ところが教員にとってはこれまで教えてきたことでも、学生にとっては初めて勉強することで、大きな発見の連続なのです。「経済がこんな仕組みになっているとは思いもよりませんでした」とか、「目からウロコが落ちました」などと言われると、こちらの方が幸せな気持ちになります。「こちらも頑張らなくては」という気持ちにさせてくれますね。 あと、発見ではないのですが、毎日学生と接しているので自然と自分自身が若くなりますよ。年齢よりも若く見られることが多いのは、素直に嬉しいですね。 最後に、東北大学の特色と、入学を希望する高校生へメッセージをお聞かせください
私は長野県で育って、東北大学に入学してから仙台に来たのですが、キャンパスだけではなく、街のいたるところに緑があって、学生が暮らしやすい場所だと思いました。学ぶ環境としては最適だと思います。 最後に東北大学を目指している高校生のみなさんへ。私自身がこの大学で4年間、その後の大学院なども含めると9年もの間、すばらしく充実した学生生活を送ってきました。それは学習環境が整っていることも大きな要因です。教員の数を例にとっても、経済学部では、一学年約280人の学生に対し、60人もの教授や准教授が担当しています。東京の有名私立大学でもなかなかここまでの教員がいることは少ないかと思います。 |